コンサル・方法論から読むシリーズ(1 / 5)

「計画通りに進める」が、もう機能しない理由 ── 前提が変わり続ける時代の計画の立て方

こういう場面、見たことありませんか。

時間をかけて計画を立てた。関係者を集めて合意も取った。ところが、いざ実行しようという頃には、前提にしていた状況そのものが変わっている。計画自体が間違っていたわけではないのに、出す頃にはもう古い。

これは、計画の立て方が下手だからではないかもしれません。計画という営みの前提にしている時間軸そのものが、今の変化の速さに合わなくなっている可能性があります。

計画は、両端を固定して間を埋めるものだった

これまでの計画の立て方は、多くの場合、最初にゴール(あるべき姿)と現状を固定し、その間を計画通りに埋めていくというものでした。両端が決まっていれば、間の作業は予定通り進めればいい。この前提が成り立つ間は、これで十分機能していました。

問題は、両端そのものが動くようになったことです。ゴールを決めた時点では正しかったはずの前提が、計画を実行している間に変わってしまう。すると、計画通りに進めること自体が、間違った方向に向かって正確に進むことになりかねません。

変化の速さの正体

なぜ、前提がここまで速く変わるようになったのか。生成AIの普及が大きく関係しています。

これまでは、ソフトウェアを一つ作るにも相応の時間とコストがかかりました。だから、汎用的な既製のツールやサービスを選び、業務の方をそれに合わせる、というやり方が合理的でした。

しかし今は、誰もが安価に、自分たちの業務に合わせた専用のツールを作れるようになりつつあります。作ること自体のハードルが下がった結果、コードを書くという作業は相対的にありふれたものになっていきます。

相対的に価値が上がっているもの

コードを書くこと自体がありふれてくると、代わりに価値が上がるものがあります。「何を作るべきか」を、正確に、そして素早く定義する力です。

作ること自体は難しくなくなっても、何を作れば本当に業務が前に進むのかを見極めることは、依然として難しいままです。むしろ、作る選択肢が増えた分だけ、見極めの重要性は上がっています。

計画を捨てるのではなく、動かしながら見直す

とはいえ、「計画を立てても無駄だ」という話ではありません。必要なのは、計画を捨てることではなく、ゴールと現状の両方を、動かしながら常に見直し続けることです。

最初に両端を固定して、その間を予定通り埋めるやり方から、両端自体が随時更新されることを前提にしたやり方へ。この転換が要るということです。

うちの計画がすぐ古くなるのは、やり方が下手だからではなく、前提が変わったからだ——そう捉え直すところから、次の一歩が変わってきます。

動かしながら見直し続けるためには、計画の中身だけでなく、判断を下す力そのものが組織の中に残っている必要があります。